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脇役(モブ)に異能が使えたら~バグキャラだけど見逃して!~  作者: 無頼音等
第二章 世界《システム》を逸脱して(仮称)
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プロローグ 泣きたくなる音

――泣きたくなるような、音がした。


 それは無色透明の揺り籠だった。

 保存と管理を目的とする溶液槽。

 そしてそれを維持するための動力源。


 誰も知らない地下に沈んだ建造物は、ただ与えられた設定の通りに動いていた。

 故に大気中から食らった魔素は常に動力へと変換され、その全てが余すことなく施設の維持に充てられる。


 それはとても長い、永遠とも思えるほどに長い待機の日々だった。


 眠ることも許されず、止まることも許されず。

 ただ守るために待機状態を維持し続けた。

 けれど――その時間はあまりにも長すぎた。


 物質はやがて劣化する。

 長く稼働していた施設の大半は時間という毒に蝕まれ、部品は摩耗し、取り込んだ魔素の変換作業にもいつしか支障が生じていた。

 すなわち、動力という名の生命線が絶たれたのだ。


――耳を塞ぎたくなるような音だった。


 施設から発せられた異常(エラー)を知らせる警報音。

 それは一つに留まらず、二つ、三つと徐々に数を増やしていく。

 同時に問題(バグ)の対処が遅延、停滞を繰り返し、蓄積された負荷が一瞬、本来の機能(システム)を狂わせた。


 まるで傷付いた身体から血を流すように。

 痛みに耐えかねた悲鳴のように。

 一部の情報が誤信(ノイズ)に混じって、地上の外界に漏れたのだ。


――誰か助けて。


 それは、泣きたくなるような音だった。

ルビが機能してなかったので修正

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