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ギルド本部ラテル支部への受付嬢はこの道20年のハトゥルフ族のキトさんだ。


ハトゥルフ族というのは猫の獣人族フェレスとエルフ族のハーフを祖とするらしい。

エルフの顔に猫耳をつけて、背はドワーフと同じくらい、お尻には長い尻尾があって、全体的にスレンダーな感じだ。

また、エルフと同じくらいの長寿命なので、御歳34歳といえどまだまだ子供のようなものなのだとか。


「ギルド証を発行するにゃ。そこの水晶を握るのにゃ。」


受付の右にほんのり浮いているクリスタルを握れ、ということらしい。

クリスタルは薄っすらとオレンジ色に光っている。

クリスタルを握ると、なんだかすこし温かい。

だんだんと手の中の暖かさは冷めていき、代わりに人差し指の付け根に温かさが集まっていく。


ポンと音がして、人差し指には指輪が付いていた。


「この指輪がギルド証兼身分証にゃ。

冒険者さんのパラメータも表示してくれるにゃ。

それと、特定の冒険者と連絡を取りたい場合の通信機にもなるにゃ。

再発行は高価有料になるにゃ。

失くさないように注意するのにゃ。」


これで完了のようだ。


パパパパーン。

クエストが終了したみたいだが、何だ?

メニューのクエストを覗くと、『大門の修理』の上に『ちゅーとりある』が追加されていて、しかも花丸が付いている。

実は発生していて、終わったら出現するようなクエストもある、ということなのだろうか。

ちなみに『ちゅーとりある』はNだ。

ギルドに登録するまでがチュートリアルだったようだ。


とりあえず、タカヤンと連絡が取りたいが、フレンド登録しないとできないらしい。


おかしいな。

タカヤンはチュートリアルが終わったら会おうとか言ってたような気がするが、これでは無理じゃないか。


「それと、レン様にはお手紙が届いてるのにゃ。」


キトさんが手紙を差し出す。

相手は、メレ・タカヤンとある。

手紙には“街の名前を書いて返送しろ”とだけだ。

僕に送れているのに、わからないのだろうか。

キトさんに聞くと、場所がわからなくても届くらしい。

魔法の手紙にゃ、と言っていた。

なるほど、タカヤンの言う通りにしよう。


「承ったにゃ。ただ、手紙はすぐには届かないのにゃ。

届いたら指輪に連絡するにゃから街を見ていればいいにゃ。」



ギルド支部から出て街を見てみる。

今いるこの大通りには主要な店のほとんどが並んでいるという。

あくまで店であって、生産職の工場は路地裏にあるそうだ。

それはそれで後で見に行きたいが、まずは大通りからだ。


武器、防具、道具、食堂、酒場、宿屋。

ファンタジー世界のお決まりの店は一通りあるようだ。


そういえば、お金がゼロだったのを思い出した。

今のままでは何も買えない。

というよりも、どうやって生計を立てていこうか。


ギルドにはおそらく多くの依頼が舞い込んでいるはずだ。

それらは無論お金になることだろう。

だが、あの紋章を持つことを知られないためには、大っぴらに活動するわけにもいかない。


森で魔物と戦った、もとい荒微塵にしたときに素材のドロップはあってもお金の、ドロップはなかった。

有名RPGと違い、とりあえず魔物倒せば稼げる、ということはないようだ。


とすれば、ギルド依頼、つまりはクエストの報酬しか稼ぐ要素がないのだろうか。


ふと思い出した。

門番ゴリラだ。

あの蝶番はクエストの一種と言っていいはずだ。

でもあれはギルドの依頼ではない。

もしかしたらあのような野良のクエストが転がっているんじゃないか?

アレなら紋章が知れ渡るような最悪の事態を防げるかもしれない。

探してみる価値はありそうだ。


それと、おそらく生産職の依頼というのは戦闘職の依頼に比べれば地味なもの、じゃないだろうか。

そっちも一応見ておこうか。

と、指輪が熱を持った。

じんわりと熱い。

指輪を見ると、メッセージが二通届いていた。

キトさんからだ。


“お手紙お届け完了にゃ”


“お客様がお待ちにゃ”


一度に二通来たのだろうか?

それとも自分が気付かなかったのか。

きっとこの先もこういうことがありそうだ。

割と気付きにくいと思う。



さてと、お客様か。

おそらくタカヤンだろう。

僕はギルド支部に向かった。

自然と歩く速度が上がっていた。

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