白川老人
時計を香月が見ると、3時を差していた。風巻連合会が今年もGPを制するとして、ほぼ放鳩地から一直線にあたる香月鳩舎は、立石鳩舎から30キロ遠方にあたる。昨年優勝タイムだと、2時40分に風巻連合会が打刻したら、香月鳩舎が3時帰舎ならば、優勝を争えるタイムとなる。そんな事を考える香月の頭上に、いきなり2羽の鳩が視界に入った。それは余りに突然で、机上の計算に過ぎなかったこのこの予想が?驚く香月だったが、紛れも無く、それは香月の鳩であった。一羽が先にタラップに飛び込む。打刻する、もう一羽はなかなか鳩舎に入ろうとしない。相当に疲れているようだ。ようやく打刻したのは一番の鳩を打刻してから、5分後。又その鳩達は昨年のGC1000キロの記録鳩達であった。わくわくどきどきするそんな帰舎では無かった。突然に前触れもなく戻ったレースであった。
しかし、後が続かない。やはり難レースを実感させる。こんな優秀な競翔鳩すら、疲れ切った姿に、ようやく冷静になり香月は分析を始めていた。後続帰舎は4時であった。川上氏が予想した、最速タイムでの帰舎は、これまで3羽。又間が開き、4時半に1羽。5時前1に羽。5時過ぎに1羽。もう薄暗くなった6時前に1羽の計7羽であった。非常に帰還率の悪い、そして、ばらつきある帰舎に、やっと参加中半分の5割の帰舎に・・。いかにスピードバードで無いと、当日戻れないレースであるか、感じた事は無かった。改めて血統が大事であると、痛感したこの日の香月であった。いつもなら7割は当然戻ってきてもおかしくないと香月は自鳩舎を分析した。選手鳩達の力量を思えば。




