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白い雲  作者: 白木
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白川老人

 だが・・思惑とは裏腹に、GPレースは、予想外の悪天候に遭遇した。持ち寄り日から曇天となり、2日目には東の方から張り出した低気圧の影響を受け、膨大な参加鳩数を管理する放鳩委員も、50名の人数とは言え、1日延びれば、飼料、水の管理等。決断を迫られる状況になりつつあったのだ。場合に依っては、雨天決行もあり得る。刻々と迫る判断に放鳩委員長に掛かる重圧は、大変なものがあった。体力を消耗させるよう事があっては、このGP以降のビッグイベントを控えて、失踪鳩を増大させる事に繋がる。だが、日延びさせても体力の消耗が懸念される・・これからのレースに影響を受けさせてもならない・どっちにしても、ギリギリの判断が迫っていたのだ・・。

 状況は良くならない・・太平洋から張り出してきた低気圧が厚い雨雲を作り、放鳩タイムギリギリまで待って、順延が決定された。700キロレースは当日帰還ギリギリのレースである。朝の10時に放鳩しても、帰舎は夕方5時前後になる。700キロレースの記録は放鳩から3日目まで。このレースに参加しているのは、各鳩舎の精鋭達だ。ここで無理をさせてはならない。放鳩委員長の冷静かつ正確な判断が要求されるのだ。放鳩歴20年、ベテランの西岡正人氏は、このレース以後の全レースの放鳩委員長を務める。一日延びれば、管理は大変を極める。放鳩車、20数台の大型トラックに、地元競翔連合会の応援が駆けつけて、手分けして、狭い放鳩籠に閉じこめられてストレスの溜まった鳩達に餌やり、水やり・・。西岡委員長は、眉間に皺を寄せたままだ。地図を広げ、気象庁、各方面に連絡を取る。幸いな事に、天候はこの日が最悪で、幾分明朝から低気圧が北上し回復する見込みとなって来た。少し雨が残るだろうが、これ以上鳩を狭い放鳩車に閉じ込める訳にはいかないし、放鳩委員達の負担も大きい事から、一睡もせずに、明朝放鳩の準備にとりかかった。

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