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白い雲  作者: 白木
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白川老人

 会員数120名、参加羽数6800羽と言う、連合会創始以来最大の100キロレースの幕が切って落とされた。当日は曇り、無風で低気圧が通り過ぎたやや遅い午前7時10分に、放鳩車から一斉に解き放たれた鳩群は、空の雲に負けない黒い塊となって、旋回する。その中で、旋回もせず、一直線に帰路を目指した10数羽が居ると、放鳩委員から報告を受けた川上氏だが、その鳩達が果たして?川上氏の鳩か、磯川か、香月の鳩達なのかは、10時前後であるだろう帰舎予想時間の打刻までは知る由も無い・・。

 しかし、香月にはある程度の確信があった。香月の鳩舎の血統は、ノーマンサウスウェル系の血を濃く引き継ぎ、悪天に強く、勇敢で、方向判断力に優れていた。数年前にゴードン系を使翔し、常勝を欲しいままにしていた磯川を初参加で破ると、5シーズン、100キロ、200キロでは圧倒的な成績を収めてきた香月鳩舎だからだ。

 ようやく体調を戻された白川氏に、ネバー、白竜号の世話をお願いし、香月も充分な管理と訓練を重ねていた。川上氏も110羽の大羽数参加で、今春に掛ける意気込みは、どの鳩舎も強かった・・。

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