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白い雲  作者: 白木
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出会い

・・ああ、この人は本当に鳩が好きなのだ・・初対面とは思えぬほど2人は川上氏の話に引き込まれ、これまでのいきさつや、色んな話を聞く内、こんな人ならもっと早く連絡をすれば良かった・・香月は思った。

 鳩用のバスケットに入れて連れてきた鳩を、川上氏に香月達は見せると、川上氏の柔和そうな顔が一瞬鋭いものに変わった。その瞬間には、香月も芳川も少しどきっとしたが、その大きな手は優しく鳩を包み込み、そして丹念に両手で羽を伸ばしたり、指先で触診するように鳩の体を触ったりしていた。やがて鋭い顔はにこやかな顔に戻り、


「良く・・これだけの傷を治してくれた・・物言えぬ鳩に成り代わり、深く感謝を申し上げたい。それもこんなに短期間で。君達がどれほど大切にしてくれたのか、充分に分かりました。有難う・・。この鳩が再び大空を自由に飛びまわる事は無理かも知れないが、こんな飼い主ならきっと大事に飼って貰えるだろう。」


 香月も芳川も顔を赤らめた。ここまで言って貰えるほど大した事を自分達はやってないと思ったからだ。

そして、川上氏は書棚から一枚の血統書と、数枚の賞状を取り出した。


「これが、この鳩の血統書と、この鳩が入賞した賞状です」


 2人は、目を合わせてただただ驚くばかりだった。川上氏は言葉を続けた。


「これは、競翔鳩なら必ずついている血統書です。君達も幾らかは知っていると思うが、競翔鳩は通信に使われていた伝書鳩を更に幾世代も交配を重ねて、競翔と言う淘汰の中で残ってきた優秀な血を改良してきた、馬で言うならサラブレッドなのです。この鳩に装着している足輪は、唯一羽を世界中で証明するもので、血統書とは鳩の素性を明らかにするものです。・・・・」


話に夢中になる川上氏の熱い言葉と、鳩に対する強い愛情を感じ取った香月だったが、それ以上にこれほど大の大人が熱中する鳩レースとは・・興味を覚えた。同時に、鳩を飼育する責任も川上氏から教えられているような気がしていた。

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