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白川老人
「やあ、待っててくれたのかい?」
香月の試験が終わるのを待っていた香織であった。
「ねえ、海行きたい」
「海?・・・うん。今日はじいちゃんが来客あるんで遠慮してくれって言ってたから、いいよ」
そのまま、海までバイクを走らせた二人だった。
香織が裸足になって水際まで走って行く。まだまだ暑い夏の終わりであった。
海岸でしばらく遊んでいた二人だが、大きな松の木の下で、座りながら・・
「ねえ・・お父さんから何か聞いてない?じいちゃんの事」
「いいえ?何の事?」
「うん・・聞いて無かったら良いんだ・・」
香月は遠くを眺めていた、横顔を眺めながら香織が言った。
「ねえ・今度は私が聞いても構わない?」
「ああ・・」
「S工大・・本当に受けるつもり・・なの?」
「出来れば」
「農大だってあるじゃない、獣医学部」
「うーーん、でも何か違うかな・・とか」
香織は海を見詰めながら、少し無言であった。




