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白川老人
「わしは恐いのだ・・白川系が完成した時、それをあの・・優しい子がわしのように狂ってしまう事が・・だからこそ、お前に託したい」
「私は・・白川さんに人生の師として、偉大な競翔家として、目指してきた事をお忘れか?」
川上氏の目に涙が光った。声が震えていた。
「分かっておる。その為の川上系と言われる一群を作ってきたのであろう・・」
「なら!何故・・?」
「もう、わしには残された人生は僅かであろう。その中で、心残りはネバーと白竜号だけだ。お前しか居らん。あの子に辛い目はさせたくない」
「・・・貴方は、香月君に白竜、ネバーの交配を約束させたじゃないですか。何で・・・?」
「いや、あの2羽は違うのだ。わしが思うに卵を産んでも、無性卵であろう。気の済むようにさせてやろうと思っておるだけじゃ」
「そこまで・・考えて居られたのですか?」
「死にゆく者の願いじゃ。お前の川上系は連合会で通用しても、中央鳩界の強豪達には通用しない。分かって居る筈だ」
「でも、私は競翔家である前に、愛鳩家であります」
「分かって居る。ゆえに頼む」
こんな会話は交わされていたその時・・香月と香織は・・。




