白川老人
「結果はそうじゃ、その白竜の天分をわしは見抜けなかったのよ。白竜こそ、1100キロGCH向きの鳩であった」
「ほう・・初めて聞きました。そんな事」
「あの子は、見抜いた、一瞬で。・・そしてこう言った。『じいちゃん、ネバーは完璧なレース鳩ですね。白竜号すら飛び越えた最高傑作です』と・・」
「そんな事を?確かにネバー号は素晴らしい鳩ですが・・?」
川上氏はまだ白川氏の言葉が見えなかった。
「あの子が興味を持ち始めたのは、オペル系と言う近親で固め続けた系統なのじゃ。それで、香月系を作りたいと言うようになった」
「なるほど・・」
川上氏は頷いた。
「わしは・・ドキリとした。この子の澄んだ目は全てお見通しなのでは無いかと」
「優れた洞察力は私も認めて居ります」
「いや・・そんな事ではない。あの子が聞いたのは『じいちゃん、なんで、ネバーを不向きな1100キロGCHレースに6回も参加させたの?』その言葉じゃった」
「それは・・ネバーだからこそ。成し得る資質があったからでしょう。だからこそチャンピオンまでなって。日本中の皆がその素晴らしい資質を認めています」
意を決したように、白川氏は言った。




