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白川老人
この日は珍しく、午前中に香月が全国旺文社模試試験の為に、白川宅には来ないとの事で、川上氏が白川老から、呼ばれていた。最近は客間で話する事も少なく、競翔家としての付き合いが主の2人であったが、白川氏は絶大な信頼を川上氏に寄せていた。川上氏も実の親以上の気持ちで白川氏に接してきた。
「今日は少し肌寒いのお・・」
白川氏の体調は、決して良いとは言えなかった。
「少し、数日の猛暑で、暑気あたりされたのでは・・?」
「のお・・」
白川氏は、言葉を選ぶように言った。
「あの子・・香月君の事なのじゃが・・」
「はい・?」
「S工大を目指すとゆうとる・・」
「私も香織から聞きました。しかし・・幾ら県下でも優れた成績の子でも・・」
「・・あの子なら、何とかなるかも知れん。明確な研究材料がある」
「競翔鳩ですか?血統を作ると言う・・」
川上氏は、少し曇り顔で言った。




