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白川老人
香織が声を上げた。S工大と言えば、中央の国立より更に難しい・・と言うより、研究機関のような大学であり、学力だけでは決して入れぬ大学であった。
「まだ、決まってませんが、ここへお邪魔する内に白川系に興味を持つようになりました」
「なら・・!」
白川老が言うのをその先の言葉は必要ない、と言うように香月はかぶりを振った。
「いえ、僕はまだ競翔歴一年の競翔家です。白川系を使翔できるほど経験はありません。それに、川上系さえ全く雲の上の存在だからです」
「ふむ・・謙虚な言葉ではあるな・・。だが、君はもっと凄い事を提案しておるぞ?」
わはははと白川氏は笑った。香織はしげしげと香月の顔を見た。自分が果たして香月の彼女だとしてこの荒唐無稽とも思える、進路志望に対して、ついて行けるかどうなのかと・・。
実はこの日から数日後・・川上氏が白川宅を訪問してから、少し様相が変わり始めていたのだった。時は、急速に風雲を告げようとしていた・・。




