白川老人
白川老は一向に卵を産もうとする気配を見せないネバーが気になっていた。香月の後に立ってこう言った。
「無理じゃろうかのお・・」
ところが、香月はにこりとして答えた。
「いいえ、まだ産まないですよ。夏ですし、体力の消耗もしますし、秋を目標にしてます」
「ほ・・では、それも計算上の事かの?」
「いいえ・・そんな気がするだけです」
「わっはっは。君は面白い子じゃのう、香織ちゃんを呼んでおいで、スイカでも切ってあげよう。君の家から貰ったもんじゃがの、ふふ・・」
2人は広い縁側の池を見ながら、良く冷えたスイカを食べた。微笑みながら白川老が言う。
「ほんに似合いじゃのう、2人はこうやって見てると御内裏様とお雛様のようじゃ・・」
「だからあ!私と香月君は、仲の良いお友達なんだって!」
香織が頬を膨らませながら言う。
「ほほ、まあ、良い。香織ちゃんの成人式位はわしも見たいからのお」
白川老の言葉に鋭敏に香織は反応した。
「いや!そんな話。白川のじいちゃんは、ずーーっと、ずーーっと長生きして私の子供を抱いて貰うんだもん、そんな近い話なんて!」
香月が、香織の剣幕に少し驚いていた。
「そうですよ、じいちゃん。僕もここにずーーっと通うつもりですから」
「有難い話じゃ、ほんに嬉しい事じゃ、2人にそう言ってもらえるとのう」
白川老は益々目を細めた。




