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白川老人
「まさしく、人を魅了する力があの子には備わってるんでしょうね。私も、あの子の才能がどこまで開花するのか見届けたいと思います」
「これも、縁じゃろうて・・。」
「で・・気になりますねえ・・どうやって産卵させるのか・・」
「然り!・・あははは」
白川老が元気を取り戻し、明るくなった事を川上氏は喜んだ。香月の毎日の訪問は白川老に対する思いやりも含んでるのかも知れない・・そう思った。
が・・思惑は思うようにはなかなか進まなかった。
そんな夏休みに入ったある日、珍しく香織が香月のバイクの後に乗って、白川宅へ来た。
そこへ、役場の人らしいネクタイ姿の中年が、何度も頭を白川老に下げながら出てきた。
「じいちゃん・・」
「おっ・・香織ちゃんも彼氏と来たのかな?」
「いやだあ、香月君はお友達よ、ね、香月君」
顔を赤らめて香織は、又ドンと池の方に走って行った。香月も頭を下げながら、鳩小屋の方へ。
「御孫さんですか?微笑ましい、お似合いの綺麗な2人ですね」
男が言った。
「いやいや・・わしには子は居らんので、孫も居らん。ただ・・孫同様には思ってるし、そう言う付き合いもしてきた」
役場の人らしい男は又深々と頭を下げながら、帰って行った。




