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遥かな未来へ
「ええ。お約束した通りです。紫竜号が俺の鳩舎に戻れば、今期、CH、DC、GNレースに参加させます。ここへ戻れば、川上さんの所で飼って下さい」
「例の団体等は、激しく君を非難するだろう。鳩界関係者さえ、疑問を投げかける者が大半だろう。それでも、君は無謀としか見えない挑戦をする事になる」
「責められるのであれば、それはそれでも構いません。しかし、それを成し得る事が出来る鳩は紫竜号を置いて他に居ません。叉、それが、白川のじいちゃんの残した夢であったとしたら、やはり紫竜号は白竜号、ネバー号の無念の思いにも報いてやらねばならない。紫竜号は、その為に俺に託された・・そんな気がするのです」
「何度討論して来ただろうか・・この事を・・。しかし、今私は思う。君と白川さん、白竜号、ネバー号は運命の出会いをしたのだと」
川上氏は紫竜号を抱いて外へ出した。ルピー号も一緒に。川上氏には驚く程従順に・・穏やかな表情の紫竜号であった。静かに川上氏は言った。




