表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
白い雲  作者: 白木
54/545

白川老人

「まさに・・」


 白竜号とネバーマイロード号の交配過程について・・

 2羽を一坪の鳩舎に移す。中を2つに区切った。仕切りは金網だが、最初の一週間は黒い布で覆った。そして鳩舎全体を暗くして、いきなり大羽数の広い鳩舎からの環境変化にストレスが溜まらぬように気遣った。しかし今まで多くの鳩と暮らしていた2羽は一羽きりになって。「グー、グー」と喉を鳴らしていた。一週間して黒い布を取ると、両方の鳩は互いを意識しだした。その日から2羽の鳩には少しずつ脂肪分の多い餌を与えて行って・・もう老鳩の白竜号に求愛のポーズが見られるようになった。だが、ネバーは呼応しない。香月は再び黒い布で仕切りをした。今度は鳩舎を明るくして、そして一週間・・ネバー号は白竜号を意識しだしたのである。そして、仕切りを取った現在・・

 ベテラン競翔家の川上氏は、ここまで聞いて全てを理解した。たった競翔を始めて、2年も満たない子が、こんな高度なテクニックを誰に教わる事なく自分で考えたのである、動物学者の白川老でさえも感心するほどに。驚きは付き合ってきた川上氏をさえ、凌駕する香月の秘めたる才能はどんどん開花して行こうとしていた。

 香月が又忙しく向こうへ行った後で、白川老はこう言った。


「あの子の祖父は、小学校の時に他界されたそうじゃ。わしの目を見てじいちゃんそっくりだと、それで、じいちゃんと呼ばせてくれと、ゆうてくれた。それが嬉しくてのお・・」


 白川老の目に涙が滲んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ