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白川老人
「聞いてみたら良かろう・・まず、この子に」
白川老は、微笑みながら言った。ツバメが目の前を飛んで行く。青い空に白い雲が浮かんでいた。
川上氏が苦笑いしながら、
「どうやったの?佐伯君の鳩」
「別段変わった事はしてません。ただ、あの鳩はまだ一歳にもなってなかったですよね。ハンセン系の血も入ってますし、少し晩生のような感じを受けたのです」
「うむ・・確かに」
川上氏は頷いた。
「それに佐伯さんは、大羽数を飼育されてますし、ひょっとして、選手鳩鳩舎には充分な安住できるスペースが無かったのでは?そう考えました」
「うむ・・。彼はレース淘汰主義で来たからねえ」
「それで、ちょうどピン太号と交配して見ようと、番にしました」
「なるほど!もう説明は良い、分かったよ。香月君」
白川老が笑った。
「あっはっは。この子はのお、動物の心が分かるのじゃ。ドンがすぐなついたのも持って生まれた才能じゃ」
川上氏も大きく頷いた。




