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紫竜号
「どうして、こんなになるの・・?」
「もう・・どうしようもないね、紫竜号は自分で、自分を潰そうとするんだ」
吐き捨てるように香月は言った。
「もう、これで、年貢の納め時・・良い機会と思えば良いさ」
芳川は安心したように答えた。
「ああ・・もう、呆れたよ、紫竜号」
香月は疲れた表情で、言った。
「で・・どうなの?この紫竜号の帰舎は・・」
「ああ・・さっき川上さんの所の帰舎が、余り詳しく聞けなかったんだけど、5羽が殆ど同時刻だったらしくて、11時前とか言ってたなあ・・。」
「それで、紫竜号は?」
「タイムはしたよ、9時40分頃だと思うけど」
「それじゃあ、早いじゃないか!」
芳川が大きな声を上げた。




