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紫竜号
「とにかくさ・・あの紫竜号ってのは、怖いよ、俺。何て言うんだろう・・意思を持ってる底知れぬようなオーラを感じるんだ」
「・・これまで、殆ど紫竜号は無意識の中で、本能に導かれるまま競翔に参加して来たんだ。でも、それは、自分でもコントロール出来ない才能を放出するように。けど、今、紫竜号は自身の力で変わろうとしている。その時なのかも知れないね」
「そんな・・あんな鳩に人間のような感覚があるとは思えないが・・・あ・・あれ?今気づいたけど、一男、お前、結婚指輪なのか?それ」
香月の指に入っている指輪に芳川は気づき、言う。
「ああ・・」
「ふうん・・とうとうあの美女と一緒になったのか。すると今日はその話だったんだね、悪かったな、こんな時間に」
「ううん。浩ちゃんが、こっちに戻って来てくれて、又一緒に鳩を飼えるなんて夢のようだよ。俺の方こそ、色々面倒かけて悪かったよね」
「あのさ・・あの紫竜号は、一男にとって、不吉な予感がする・・これからもあの鳩を競翔に参加させるつもりなのか?正直に聞くよ?」




