紫竜号
「いやあ・・。私には全く気がつかない異変であった。どうして、病気に気づいたのか教えてくれないかね?」
「いえ・・このお宅にお邪魔する前に、広大な麦畑を見ました。ひょっとして、この辺りで、取れる麦を多食させているのでは?鳩を飼われていると聞き及んだ時に、推理致しました。更に鳩舎の構造と、宅地の環境側面、又湿潤な土地柄を見て、まず鳩を見る時に、病気を疑って見ていました。13羽の鳩舎の中で、2羽感染してましたが、その一羽を偶然にも博士が抱いて来て無かったら、発見は困難であったと思います。感染して症状が出れば、まず助かりません、空気感染もする恐ろしい病気ですから」
「あ・・ああ。何て事だ。動物学者たる私がそんな事も分かって無かったなんて」
「いえ、見るからに健康そうな鳩達で、血統的にも優れていると思います。更に、鳩舎内の殆どが若鳩ですから、感染し易い環境が出来たようです。」
「君にね、自慢の鳩を見せて驚かそうと思った、茶目っ気が、自分が驚かされたよ」
メリーが、言う。
「素晴らしいわ。香月博士。その薀蓄は一体どうやって?」
「高校生の時に白川博士と言う、亡くなられましたが、短い時間でしたけど、色々鳩の病気については教えて貰いました」
「おお!白川博士?あの博士と交流があったのかい?」
マクガイア氏は、驚いたように言った。




