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闘志・・
「日下部さん、例の件で、少し・・」
「あ・・ああ。そっちで話そうか」
「何よ、2人して私に内緒話?」
「済みません、鳩の事ですから」
香月は、敦美さんに頭を下げると、2階の屋上へ日下部氏と上がった。5坪もある大きな鳩舎がある。
「今は・・何を言っても無駄ですね、敦美さん」
「そうなんだ。でも、私達は子供が居ないだろう?分かるんだ、あいつの気持ちも」
「そう言う事なら、賛成しますよ。俺も」
「香織ちゃんには言わないでくれよ、香月君」
「何で?」
「短大を卒業し、今から教育実習を1年間やって、彼女が家内と一緒にやるなんて言い出したら、俺達や、家内が良くても、親御さんが納得しないよ。あいつもそれは流石に言い出さないと思うし、ひょっと耳にでも入ったら、香織ちゃんの事だ。手伝うなんて事にでもなったら困るよ」
「はあ・・」
香月は、それ以上はもう言わなかった。しかし、黙ってて、いつまで香織に内緒に出来るかも疑問であった。
香織が教育実習から戻ってくれば、当然分かる事なのだから・・。香織は、2年後に一緒に手伝う事になるのだが・・




