春風と英傑の息吹
これによって、掛川は助教授となり、教授への道が開かれた事になる。親子2代の、S工大の教授になるのだ。香月と掛川は力強く握手を交わした。
その他3名が、特進と言う事となり、2回生の山田和弘が4回生となる特進、桑原チームでは3名が特進となった。白石五郎が3回生から修士課程2年への特進、山本俊二が、1回生から3回生へ。高山良行が4回生から助手として・・。
以上の6名が対象となった。香月は、S工大4年の学士課程をたった2年で修了し、修士課程、博士課程をも飛び越えた事になったのだ。笹本の忙しくなるぞと言った事は、この事でもあった。
香月は嬉しさも大きかったが、余りの急激な進展に当惑していた。今の現実が必死で、全くこの先の事を考えて無かった。4年間の中で、自分の進路を決めるつもりだったからだ。当然、修士課程に進むと言う漠然の進路が、唐突の現実となったのだから。
そして・・桑原教授に部屋へ呼ばれた香月であった。
「高い評価を受けたよ、君の論文。私のチームでの免疫学、笹本君のチームでの生態学。全く新しい視点の上での理論の構築だった。君はこれから忙しくなるぞ」
「でも・・いきなり助教授なんて、思っても見ませんでした。俺はまだ2年しか・・」
「若い、経験があるとか無いとかは関係が無いだろう。ただ、君の論文は英訳する事になる。一年間は修士課程に席を置いて完成させるんだね」
「は・・はい」




