白川老人
向こうから、一目散に走ってきたのは、シェットランドシープドックの「ドン」と言う雄犬だった。香織に、嬉しそうに尾を一杯振りながら飛びついてきた。
「きゃあ♪ドンちゃん、大好き」
香織がドンを抱きかかえると、どうせ、鳩の事だから、私は、あっちでドンと遊ぶと走って行った。
そんな様子をまぶしそうに、にこにこしながら眺める白川老人だった。川上氏が、
「今日は私の倶楽部に入会した、香月君と言う子に鳩を見せていただこうと来ました」
「はじめまして、香月です」
「おお、これは又、香織ちゃんと同じ位の年かな?良く来たね」
優しそうに、眼を細める白川老人に、香月は小学校の頃他界した祖父の優しい笑顔を思い出した。
「香月君、この方はね、稀世の名鳩『白竜号』の作使翔者でも知られる、動物学者の白川さんだよ」
「えっ!では、あのGN1100キロレース2年連続総合優勝の!」
「そうだ、まさしくその稀代の銘鳩の使翔者だ」
「白川さん、この子も非凡な競翔家でしてね、初参加で、文部杯の全国優勝した子です」
「おお・・聞いてる。どうりで、並の子では無い目をしていると思ったわ」
香月は少し顔を赤らめた。こんな著名な方に認めて貰っているとは嬉しかったのだ。




