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白川老人
出迎えた人は、70過ぎの真っ白な顎鬚を長く伸ばした老人だった。この人はS工大の名誉教授もされていた、白川正造と言う、著名な学者であった。連合会の顧問をされて居り、数年前から体も悪くされて、今は自宅での読書三昧だと言う事だ。香月にはまだどんな人なのかも想像出来なかった。奥さんも2年前に他界され、子供も居ないので、通いのお手伝いさん以外に、広大な屋敷には他に人も居なかった。
3人の顔を見るなり、顔をくしゃくしゃにして、出迎えた白川老人だった。
「おお、香織ちゃん、久しぶりじゃないか。益々美人になったなあ、もう高校生になったんだってねえ」
「お久しぶり、おじいちゃん」
ぴょこんと頭を下げて、少し照れ加減に香織は白川老人を上目で見た。
「ドンちゃんは元気?」
その香織が聞く。
「ああ、元気だよ。おーーいドン!」
ドンとは?香月が目をぱちくりしていると、




