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春風と英傑の息吹
「なあ、磯川君。君の推理でも良いから、トップ鳩の帰還コースを解説してくれよ、あるんだろ?思いが」
小谷氏の言葉に少し磯川が頷いた。
「憶測で良いのなら・・でも、あくまで仮想でしかないですが」
「聞こう」
川上氏が言った。
「放鳩地から、50キロ後方つまり450キロ地点には、標高2450メートルの妙高山(仮名)がありますよね。つまり、この山の裏手に回り、大きく迂回するコースです。なら、向かい風も無く、更に風裏となって、山沿いに一直線で、200キロコースに迂回出来ます、そこからは追い風です」
ほおーー・・叉どよめきが上がった。
「しかし、それは妙高山を迂回する為に、50キロも逆飛翔する事になるじゃないか。若鳩の方向音痴ならともかく、優秀な経験鳩がそんなコースを辿るだろうか・・」
郡上氏が言う。
「そこなんですよ、仮説の域を出ないのは。ただ、この鳩の成績を見ても、前年度のGP時は相当がりがりに痩せてたんです。でも、今期は見違える程の筋肉がつき、体型も出来ています」
「磯川君は、えらいその鳩に御執心なんだね」




