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白い雲  作者: 白木
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春風と英傑の息吹

 低気圧が張り出した、ややスピードが落ちるであろうこのレース。こう言うレースこそ紫竜号だな・・、香月はそう思った。これまでのレースでは、圧倒的に他鳩舎を引き離す成績は出ていない。大混戦の高速レースだった。だが、こう言うレースこそ、鳩の真価がはっきりする。香月自身の中では、一番信頼できる鳩は第3世代の新鋭では、無かった。参加羽数はこの3日後に開催される、シルバー3000キロレースと言う西コースの新設レースのストックで、5400羽と、数的に連合会では減っていたが、合同杯は、50000羽近くの大レース。当然狙いの鳩舎は多かった。運命の別れ道は「カズ・エース号」においてもそうだった。このレースは、700キロGPを狙うスプリント号の参加で、500キロ、600キロのチャリティーレースに照準を絞る、カズ・エース号は、シルバー杯に回ったのだ。

 放鳩が7時20分になった事で、香月は、すぐ掛川に電話した。それは、このレースを左右するであろう、帰還コースに位置する小高い丘にある公園へ掛川が直行する事、即ち、訓練を行って来た、本来は仮想紫竜号の帰還コースを確認する事にあった。思えば、高地訓練から唯一紫竜号に匹敵する帰舎を見せた、スプリント号は、まさしく長距離鳩としての図抜けた資質を持って居たと言える。それは高地同時訓練をした紫竜号から受け継いだ物であるとも言える。そして、この上空を通過する事は、見えない鳩レースの長距離鳩の帰還コースの一端を捉える事でもある、絶好の機会であった。紫竜号に最も近く高いデータがあるスプリント号だから、今後のレースにも大きく関係してくる筈だ。掛川は望遠カメラを用意して待っていた。帰舎予想時間が11時前後と、この天候でも比較的早い帰舎タイムを予想していた香月であった。そして・・・香月の目の前に一羽がタラップに舞い降りた。それは、予想通りのスプリント号であった。この予想は完璧に香月の読み通りで、タイムを打つ。結局3羽のタイムをして香月は打刻を止めた。それは、スプリント号のタイムから20数分も遅れて4番手の集団が戻って来たからだ。掛川の報告を待つまでも無く、予想コースをスプリント号は戻って来たのに違いない。2番手、3番手の鳩は短距離で秋に活躍した鳩群だった。短距離鳩では無いスプリント号が飛び抜けて早かったのは、別コースからの帰還を意味している。

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