白川老人
「しょうがない・・君には鳩レースを楽しんで貰う立場の私が、まるで、煽るように言って・・。君の・・レース間訓練が少し気になってたんだ。いや・・悪いと言う訳じゃない。レース間が1週間、2週間しかない現実で、500キロレースから700キロレースには、いかに早熟の血統の君の鳩でも、疲労がピークになる頃だ。その訓練はまだ生後1年の若鳩だから、必要ないとは言わないけど、そのせいかも知れないね・・まだ競翔一年と半年の君に、こんな事言う私も口が滑った。許してくれたまえ」
「いえ!参考にさせていただきます」
競翔を始めてまだ秋・春・秋・春・・4回のシーズン・・香月が既に、強豪と言っても過言で無い成績を残している事と、このベテラン競翔家さえここまで、言わせてしまう、非凡さが確かにあるようだ。
又、大学受験していた磯川も無事大学の医学部へ合格したようだ。北村は進学せず家業の酒屋を継ぐそうだ。そして、これまでスクラムを組んで鳩レースをやってきた芳川も、東京の大学へ合格して、香月の周囲も大幅に変わっていた。しかし、もう、一人ぼっちの孤独な彼では無かった。競翔には学生の友人が回りを囲み、香織と言う仲良い異性の友達も出来、学校でも友人達に囲まれる毎日であった。
そんなある日の事であった。香月はここで運命的な出会いをする。彼の将来を決定する大きな出会いであった。その前にこんな事もあった。
この日・・いつものように、訪れた川上氏宅の前で香月は立ち止まった。




