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白い雲  作者: 白木
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出発

「とんでも無いですよ、12羽中、10羽です。悪天候の割りに帰舎は上出来です。むしろ、こんな天気でもきちんと戻って来る鳩を見て、俺は安心しました。菊花賞に狙いが当てられますから。まだ、菊花賞まで1ヶ月近くもあります。調整は十分ですから」

「ほお・・10羽かね?それは良い帰舎だね」


 香月はすぐ電話を置くと、川上氏宅へ向かった。会長宅での開函に行く道中の会話も、このレースの話題ばかりであったが、会長宅へ着くと、20人前後しか会員は集まって居なかった。開函を済ますと、審査員を除く全員で円陣が組まれた。口火を切ったのは、このレースに大羽数260羽を参加させていた郡上氏であった。


「いやいや、参ったねえ。この連合会に参加して何度目かの400キロだが、今日は本当に放鳩したのか?

と思ったよ。何しろ260羽も参加させてるのに、4時半だよ。一番手が戻って来たのは。あははは」


 郡上氏らしい余裕の言葉に、硬い表情の会員達も幾分緊張が解けたようだった。

 小谷氏が続く。


「そうですね。私は運輸杯を捨てて、この400キロに主力を持って来たんですが、聞きしに勝る難コースでした。まるで700キロレースのような錯覚を覚えるレースでしたね。52羽参加して、4時半に2羽。6時前にやっと6羽の8羽きりです、当日戻って来たのは。初めての体験ですね、400キロレースでこんな悪い帰舎は。でも、明日戻って来なかったら、本当に万歳ですけどね。わはは」


 少し笑いが漏れた。皆は充分に理解してる事で、事前に川上氏から全会員に通知が入ってもいる。レース自体の決行に異議を唱える者は皆無だ。ただ、このレースに拘る必要性を否定として論じる者は居る。磯川が加わった。

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