出発
「うん。確認した所では、上位が1500メートル台かな?俺の所も9時9分にタイムしたよ。かなり一般も分速が接近してて、俺の3羽と、磯川さんの1羽。川上さんが特別多くてね、10羽なんだ。君の方の文部がどうかと思ってさ。大体君の帰舎タイムが100キロレースを左右するからね」
「ええ、9時2、3分だったと思います」
「そう!やっぱり早いね。すると・・俺の一般の方も案外良い線に行ってそうだね」
「俺が確認した所では50羽程の集団でしたから、面白いですね。間違い無く上位でしょう。ところで、佐野さんのトップは新血統ですか?」
新導入の血統を敢えて香月は聞いて居なかった。それは結果が出てから聞くものだと思っていたからだ。
佐野は、喜びを隠せないような張りのある声で答えた。
「うん!そうなんだ。実はビクターロビンソン系を入れたんだけど、長距離タイプって思ってたら、こんなに短距離にもスピードが出るなんて考えて無かったからね、期待以上で嬉しいよ」
「良かったですね。イギリスの血統ですが、かなりのスピード系と聞いてます。今晩の開函の時にでも叉その話を聞かせて下さいね」
「うん!じゃあね、今から他の鳩舎にも連絡を取って、リスト表を作って見るね」
元気の良い佐野が戻って来た。香月も嬉しくなった。佐野の新血統が幸先の良いスタート。愛鳩を失った悲しみから立ち直ったその喜びに、拍手を贈りたかった。




