出発
「そうですか。佐野さんの元気な姿を見て安心しました」
「ああ、又よろしく。で・・少し今日は君に聞きたい事があったんだよね」
「何でしょう?」
佐野はノートを出した。彼らしい仕草に香月もニコッとした・・が、次の瞬間香月の顔が凍った。
「分かる?君の紫竜号・・どう見ても、白竜号、ネバー号の仔鳩としか思えない。これが血統図の証拠だよ」
「・・ふう・・佐野さん、どなたかにそれを?」
「いや、君に確認したかっただけさ。君が公開しないのは、理由が勿論あるのだろう。天下のGCH両鳩の奇跡の仔鳩だなんて知れたら、困るからだよね?そう言う事で、隠して来たんだろう?驚くのを俺も通り越してて、なお且つその紫竜号の稀有の才能に驚愕するよ。全く」
「今は・・やはり内緒にして下さい。お願いします」
「ああ、勿論さ。どんな競翔鳩に育って行くか、楽しみでもあるし、勿体ない気もするよね。これを磯川さんが知ったら、どう言うだろう・・。恐らく紫竜号の才能を誰よりも感じてるから。パイロンエース号のライバルになるかもって言ってたよ」
「あの鳩も英傑ですよね。春には素晴らしい成績が期待出来る競翔鳩でしょうね」
この晩、久しぶりに川上家で夕食を取った香月であった。楽しく、そして祝福を受けた後、いよいよ川上氏との今秋の本題に入った。




