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白い雲  作者: 白木
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競翔仲間

 それまでにぎやかに談笑していた場が、静まり返った。磯川の顔面は蒼白になったまま、そのまま言葉を失った。


「わあ!・・それじゃ、香月君が、初レース初優勝?それも、もの凄いタイムで!」


 一斉に場が沸きあがった。とてつも無く早い帰舎なのだと、初めて香月も知ったのだ。

 磯川は、言葉を選びながらも、香月のタイムと自分の鳩舎の帰舎タイムとの比較を始めた。


「すると・・君と俺の鳩舎は約7、8キロ離れてる訳で、俺の一番帰舎が7時27分だから12分差・・誤差があるとして・・でもまだ分からない訳だね・・」


 平静を装うと、磯川は冷静に分析していた。確かに、磯川の帰舎タイムもかなり早そうだ。でも、香月の連続5羽が入賞してるのは、確実でもあった。佐野が耳打ちしていた。

 審査員の資格を持つ水谷支部長と、渡辺茂夫審査委員長によって、文部大臣杯の集計が始まった。文部杯参加総数は連合会で、324羽。一般のレースは、ほとんど無打刻で参加総数は3398羽だった。しかし、何人かの参加者もあり、その打刻鳩数は約110羽・・かなり集計に時間が掛かりそうで、何人かが分担して作業集計に追われていた。

 その間、川上氏を中心とした本日の100キロレースの話題が持ち上がった。残りの者がその回りに集まった。


「今日は高気圧が放鳩地からこちらに張り出して、絶好の競翔日和であった。予想以上に高分速のレースとなったのは、この天候と、若い競翔家達がここ数年ライバル意識を持って、互いの鳩質向上に努めて来たからだ。もしか・・して・・今日の分速予想からして全国杯の可能性も高い。香月君、磯川君のタイムは飛びぬけて速いので、期待出来そうだね・・」

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