出発
「貴方達程じゃないけど、今すぐと言う訳じゃないの。婚約と言う事で、学生の内は無理だけど、卒業と同時に結婚しようって決めてるの、私達」
「そう!おめでとう!貴方達なら、きっとうまくやれるわ。お互いを理解しあってるもの」
香織は笑顔で拍手した。香月が言う。
「じゃ・・君達は卒業と同時にブラジルへ移住するって決めたのかい?」
坂上が答えた。
「ああ、そのつもりだ。実際今は、大学で学ぶ事が多いけど、向こうの大学へ助手として勤務する事も可能だそうだ。現地の方が夢により近づく事が出来るし、それにかずみは、今英会話の勉強中なんだ。向こうで音楽の教師を目指している。と、言っても、分教場のような小さな学校になるだろうけど」
「そう・・そこまで考えてるのね。じゃ、もう貴方達のご両親も?」
香織が聞いた。坂上が答える。
「いや・・大反対でね。婚約については、双方の親も認めてくれたが、移住の方は猛反対を受けている。まだ3年もあるから、その内考えも変わるだろうと、両親の方は思ってるようなんだ。でも、もう俺達の気持ちは決まってる」
「大変だね。で?君達が敢えて、今婚約したのには、きっかけがあった筈。それを聞かせてくれないか?」
香月が言うと、クスっと、かずみが笑って答えた。




