春の息吹
香月は、少し背筋を伸ばすと、一口茶を飲み、静かに喋り始めた。
その話は、この場に居る全員に人生に於いて深い関りを持つものでもあった。香月の話を語る時、作者は、非人間的理想論に偏る所がある。何故ならば、超人故に絶対達成出来ないものに挑戦し、そして、激しい心の葛藤との戦いがこれから待っているからだ。それを語る時、この場の話が基本にあった事だと、文章を加えました。
全員が静まり返った。
「今更、俺と香織との事を言うより、自分自身の出会いと、運命のような点と線についてお話します。少し長い話になるんで、退屈しないで、聞いて下さい。俺は確かに中学時代は、図書室で本を読んでるような物静かな男でした。同級生との関係より、自分が没頭出来るものがそこにあったからです。そして、俺は不思議な巡り合わせに出会う事になります。次々と。それは、誰にもそう言う運命って感じる事があるように、俺には、必然のようなものでした。俺は中学3年の時、1羽の怪我した競翔鳩に出会いました。そして、その鳩の持ち主、この香織のお父さんである、川上さん、俺が今所属している競翔連合会の副会長との出会いがありました。その娘さんである、香織との出会い、叉、川上氏を通じて、俺の生涯の目標となる研究をされていた故白川博士に出会いました。そして、その博士の所有していた、競翔界の超銘鳩、『白竜号』『ネバー・マイロード号』との出会いがあります。それは、不思議な点でありながら、一本の線となって。人が人と出会う時、その人生に於いて、心を揺り動かすような深い出会いがどれ程あろうか・・?俺は、その出会いの全てに大きく心を動かされ、色んな物を教えられ、目標と言うものが出来ました」




