競翔仲間
PM7時、時報と共に、バシャーン・・これを閉函と言う。鳩時計の打刻音が響く。時を刻みかけた鳩時計は、放鳩された鳩が戻ってきた時に打刻、そして開函時の打刻・・いよいよレースは始まったのだ・・
その後、香月達4名の学生愛鳩家を乗せた川上氏運転の車は、連合会会長宅へ向かった。会長宅は川上氏の家から車で15分ほどの場所にあり、造園業を営む広い園内には、所狭しと植木や鉢植えが並んでいた。既に辺りは暗くなっていたが、その一角に金網で仕切られた大きく立派な鳩舎が見えていた。
家の中には既に大勢が集まっているらしく、にぎやかな声が聞こえる。中央に座っている体格の良い初老の人が高橋貢連合会会長であるらしく、川上氏にすぐ声を掛けて来た。
「よお!こんばんわ。どうだね?川上君」
「はあ、まあまあですね。どうも今年は悪天が災いしたのか、仔鳩の成長が少し遅れ気味のように感じるんですが」
「うん・・私の所もそうだよ、ところで、君の倶楽部の方に良い子が入ったらしいね」
香月がすぐ、会長、他のメンバーに挨拶した。
「おう!君か、なかなかの男前じゃないか。川上君の飛び筋の秘蔵鳩を譲られたそうだから、我々にとっても強力なライバルになるかも知れないな。はっはっは」
いかにも豪快に会長は笑った。盛大な拍手に迎えられて、座を取り、一人、一人と紹介される。この日集まったメンバーは、いずれも東神原連合会の中心的な強豪競翔家ばかりだった。




