誕生
そして、叉全国杯の600キロ衆議院議長杯。このレースは、過去に白川氏が全国優勝を達成している放鳩地で、かなりの好天に恵まれれば分速の出るレースであった。500キロに比重を置いた鳩舎、600キロに比重を置いた鳩舎。思いはまちまちであろうが、今春の香月はこの600キロレースにポイントを置いていた。結果が良ければ、400キロからジャンプしてきた鳩は、GP700キロまで、2週間の期間があって、十分に参加可能。調整も出来る。ちなみに、この500キロレースでも磯川は、16位に入賞させただけで、今までの冴えは見られなかった。佐野の情報によると、帰舎は常にトップ集団だが、入舎が悪いそうで、それが原因らしかった。それをどう克服するか・・香月はそれをとっくに実行していた。仮想自鳩舎のペパーマン系に比する、シューマン系交配鳩達で・・。磯川はきっと今、歯噛みしている事であろう・・香月はそう思った。もう一つ原因がある、今春のレースが、100キロから300キロまで、高分速レースだった事だ。体力を相当消耗してるに違いない。高分速のレースが続けば続く程、帰巣本能に負けて、体力がついて行かない。だからこそ、香月の疲労回復策があった。鳩の能力が互角ならば、トレーナーである、競翔家の手腕が、差となって出てくる。




