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白い雲  作者: 白木
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誕生

 いよいよレースも300キロからになって来ると、合同レースやダービー等も加わり、賞金レース等も各団体で開催されている。そちらは1羽当たりの参加料も高いので、特定の人達によって運営されているようだったが、東神原連合会では、賞金レースは得点外としている。参加、不参加を強制するものでは無かったが・・。

 その300キロレースになって、香月は磯川の参加羽数が36羽と少ないのに少し疑問を感じた。ジャンプ方式かな?春は大レースが目白押し。当然そう言ったジャンプ等は、競翔テクニックの一つである。しかし・・それは違った。この300キロレース香月は4位に入賞。磯川は優勝した。しかも毎週発刊される「週間競翔」によって、磯川の鳩が、賞金レースで堂々と4300羽中総合優勝を飾ったのを知ったのは翌週の事だった。一般の競翔は「運輸大臣杯」そちらも連合会優勝。そして、1羽参加料1500円もする賞金レースに・・。


「ご存知ですか・・?磯川さんの・・」


 香月が川上氏に言った。


「ああ、知ってる。どうこう言える立場では無いし、彼も成人してるのだから・・とは思うが、私自身は邪道だと思っている」

「僕も同感です。確かに素晴らしい鳩が参加されてますけど、日本の今の風土には馴染みません。後年こう言うレースが欧米や、ヨーロッパ各地のように増えて来るのでしょうか?」

「分からないが、賞金レースには、協会に所属していないプロのような連中が大勢居るし、手段として、鳩の売買を目的として行って居る。磯川君の場合、それが運輸杯だったら、10連合会の総合優勝だったよね。それが私には残念なんだよ。彼の場合自分の鳩の力を誇示しようとしているように感じる。そんな世界じゃない。そんなもんじゃないんだよ。鳩競翔と言うのは・・」

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