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競翔
「あの・・・顔に何かついてます・・?」
「ぷーー!」
香織が吹き出した。
ますます香月は不安になり、自分の顔に手を当てた。
「やっぱり何かついてるんだ・・」
とうとう香織は「キャー、キャッ、キャッ・・!」
と笑い転げた。
「あの・・・」
益々不安な顔の香月だった。
やっと笑いを沈めた香織だった。そして聞く。
「あーー苦しい・・ねえ・・香月さんて、私と同じ中学2年生。来年受験でしょ?」
「はあ・・そうですね」
「勉強しなくていいの?こんな時期から鳩飼い始めて・?」
「えっ・・まあ。僕の場合地元の高校だし、それに普段勉強してればね。受験だって騒ぐほどの事でもないし・・」
「わあ・優等生なんだ・地元のE高校って県下でも1、2番の進学校でしょ?」
「えっ・・はあ、まあ・・」
打ち解けて話を始めた2人だった。同じ年と言うのもある。香織が香月に興味を持っていた事もあるが、何より受験と言う人生最初の関門が2人に待っている。




