回顧・・希望
週が明けて、香月は担任に呼ばれた・・。進路の事であった。
「どこを希望したい?香月君」
「はい・・S工大獣医学部を希望します」
担任の顔が凍った。
「・・それは・・極めて難関中の難関だ・・君の学力なら、中央のK大農学部獣医学科や、N大も可能だろう?何故?」
「僕も考えました。でも、僕の両親は小規模の農業をやってて、中央の大学へ行くには負担も大きいんです。又、調べましたら、S工大のような設備は整っていないし、それ以外には条件の当てはまる所は無いんです」
「だが・・S工大と言えば、国家の特殊研究機関・・改めて、他の大学からも入学し直す者も居る位で、1浪、2浪は当り前の所なんだよ?学業云々じゃなく、どう言う研究目的かを問われる所だ。君はそれを持っているのか?」
「はい・・」
「うーーん・・君程優秀な学生だから、私もS工大は出来るならば、もう少し考えた方が良いと思う。来週でも君の両親と話して見よう・・」
頭を下げて香月は職員室を出た。そこへ香織が待っていた。
「進路の話?」
「ああ・・やはり考え直せって・・」
「香月君の夢の第一関門だもんね・・で、用事があるって言ったのは?」
香織が聞いた。
「うん。そろそろ倶楽部活動を止めて、本格的な受験体制に入りたいと思うんだ。スケジュールを決めて・・」
「私も、頑張らなきゃ!」
「じゃ、行こう」
「どこへ?」
「今から退部届を出しに」
「ええっ?」




