回顧・・希望
「ふ・・ふふふ。君って言う子は・・。しかし、あのシューマン系は白川氏が導入して2腹しか仔鳩を取ってない鳩で、私もこの2羽が参加したレースでは惨敗したよ。殆どが900メートル台の分速のレースの中で、2羽ともダントツの1100メートル台で、しかも最遠地にありながら、近隣地区では圧倒的な、ぶっち切り・・総合でこそ、順位は落としたものの、それも当時参加連合会の距離の制限がまちまちで、結局850キロの範囲であった地区が上位を独占した中の、総合上位だったからね。私もこのままこの2羽が以降のレースに参加されていたら、どんな大記録が生まれたか想像できない位だ」
「・・・そうなんですか。・・でも、結果は分かりませんけど、僕は綺麗な鳩が手に入って嬉しいです」
彼らしい率直な意見を言った後、香月は香織を連れて近くの公園に出かけた。
公園のほぼ中央に大きな池があり、一本の楠木が植えられている。丁度その木陰の下のベンチが2人の指定席だ。香織は最近香月が部員になっている剣道部のマネージャーをやっていて、倶楽部のマスコットガール的な存在だった。香月は中学校の時には県大会で準優勝するほどの実力の持ち主だが、当初はたまにしか練習に顔を出さない香月と、先輩部員との間で揉め事もあったのだが、
「スポーツは体を鍛える為のもので、試合するための活動ではありません」
その意見が、理解ある先輩によって、不規則な倶楽部活動参加になっていた。




