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白い雲  作者: 白木
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競翔

 やがて、芳川、香月によって持ち帰られた一番つがいの鳩は一坪の鳩舎の中に、二番の仮母達と飼われる事になった。川上氏のアドバイスを忠実に守り、粗末な鳩舎ではあったが、通風、換気などには充分な注意を払い、3番の鳩達にとっては余りある位のスペースであった。外敵の多い農村地帯なので、地上から1メートル鳩舎を持ち上げて、頑丈なほど鳩舎には外敵への気を使っていた。

 突然鳩を飼い出した香月に、母親奈津子は少し心配そうに言った。


「お父さん・・今年は大事な中学3年生だと言うのに、大丈夫ですかねえ・・」


 母奈津子さんの心配は、世の親なら当然でもあった・。しかし、父泰樹がこう言った。


「なあに・・あいつのこんなに生き生きしてる顔は初めてだよ。日ごろから大人しい子で、親にも今まで全然心配させるような事もなかった。引っ込み思案で、学校の成績は悪くは無いが、友達も少なく隣の芳川さんとこの長男、浩二君位だろう、あいつと遊ぶのは。変わったよ。あんなに明るく息子が変わったのも、きっと川上さんと言う方が素晴らしい人だからだろう」


 泰樹は、遠くを見るような視線で、むしろ喜んでいる風だった。


「でも・・お金も掛かると言うじゃないですか、鳩のレースって。こんな大事な時期に」

「心配するな、あの子は日頃から忙しいわしらに、気遣って今まで、なんの無理も言わずに一人で過ごす時間が多かった。そんなあの子が一生懸命にやる事なら、黙って見守ってやろう」


 そう言って、両親は又、専業農家である自身の田畑に出かけて行った。

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