希望
「・・そこまで、徹底されたのですか?でも総合87位・素晴らしい成績でしたね。1050キロ」
「そんなもんじゃいかんのだよ。そんな非凡の鳩と言う枠では計り切れない鳩なのだ。ネバーは・・前にも言った筈だ。今は4つのレース。来年は5つのレースになるらしいが、今のGC、CH、GCH、GNのレースでのグランドスラム、総合優勝を1羽の鳩で狙って居った」
「今更ながら・・聞けば、聞くほど身震いしますよ。白川さん・・」
「狙って出きるもんじゃない。だが、わしはそれだからこそネバーにそれまでの競翔人生を賭けて、鍛えてきたのだ。それは、それほど完成された鳩だからだ」
「・・貴方と言い、香月君と言い・・・私が凡庸だからでしょうか・・理解不能です」
「お前が手にして見れば、分かるであろう・・。お前が絶対の信頼を置く自鳩舎のエースに期待を賭けるのと、そう大差は無い事だ・・だが・・」
「結果は完全に裏切られた・・白竜号と言う伏兵にですか?」
「ああ・・白竜の真の資質を見抜けなんだわしの不明。ネバーを酷使したわしの不徳、多くの選手鳩を道具のように酷使したわしの大罪・・全ては狂ってしまったのだ。わしの異常な執着が」
白川氏の顔色が少し悪くなった。
「お疲れでしょう。少し主屋の方に戻りましょう・・・」
白川氏の心情を悟り、川上氏は言った。




