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白川老人
「今日のような小雨まじり、まして昨日からの雨では、羽毛が濡れて、飛び続けるのは困難であろう。晴天の時ならそのコースは安全なんだが、このような状況の中では、一流の選手鳩は自分の体力と相談しながら、どこかで休む事となる。と・・なると、選ばざるを得ないのは、街中なんだよ」
「あっ!・・」
香月は声を上げた。自分の読みはそこまで及んで無かったからだ。
「君は流石に察したようだね。都会の街並みで羽休めをするのは、電線、高いビル群、それにビル風と言われる乱気流。危険は一杯なんだ、更に・・」
言いかける川上氏より前に香月が答えた。
「カラス・・ですね?」
「それを知ってるのか、君は」
川上氏が驚いて香月の顔を見た。競翔を始めて、2年の若者がそんな事を知り得るのか?そんな驚きだった。そこまで、彼の口から出るとは予想もしていない言葉だったからだ。
「僕は、白川のじいちゃんからの資料で、色んな事を学びました」
「そうか・・白川さんの・・」
納得した川上氏だったが、むしろ川上氏の眉は一瞬曇った。それを悟られまいと思ったのか、川上氏は鳩舎に向き直って、言葉を続けた。




