白川老人
「ああ・・。一番手が、3時半位かな?その後4時前後に5羽。後は、ばらばらで、最後が6時半だったよ。予想よりは、帰舎タイムが早かったんで驚いてるんだが、風巻連合会の小川さんの所が2時45分らしい。今の所飛びぬけて速いのはその鳩舎だ。・・おっと、ところで?君は?」
成る程・・川上氏は自分の所が上位に入賞は無理だとの判断で、気がタイムに向いてなかったのだな。競翔家らしい川上氏の一面も見て、香月も微笑んだ。
「はい・・僕の所は、少し意外なタイムだったんで、時計を開けて見ないと分からないんですが、2羽同時に帰舎したタイムは、3時5分頃で、もう1羽が5分ほど遅れてタイムしました」
「ええっ!3時5分?それは早いよ!それじゃ、風巻連合会より早いんじゃないか?今日は開函が延期になって、明日の晩9時に変更になったから、今から、問い合わせして見るよ。そうか・・君が早退したのは、そう言う読みがあった訳だ。秘密訓練かな・・?」
川上氏の言葉に自分の内心を看破されて、香月は少し気恥ずかしさが湧いて来た。だが、3万数千羽と言う参加数・・敢えて入賞だと言う言葉は、2人の口からは出なかった。
その香月に電話が又入ったのは、父、母に少し小言を言われながら食事を済ませた後で、風呂から出た8時頃であった。電話は佐野であった。佐野も昨年は1000キロに2羽記録し、7位に入賞させた。力をつけてきた若手である。彼も16羽GPに参加させていた。
「やあ、こんばんわ!。今、色々確認をとって、ある程度把握出来たんだよ」
「いつも参考になりますよ、佐野さん」
香月は、佐野の情報の的確さにいつも感謝している。




