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白い雲  作者: 白木
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出会い

 説明を受けながら、でも香月の脳裏には、これほど細心な注意を払いながら、科学的とも言える鳩舎の設計にただただ驚くとともに、それ以上に深く興味を持った。それは彼が生きてきた、14年の人生の中で、温厚で寡黙な少年だった自分に対する、心の中から湧き上がってくるような熱い感情と、出合ったばかりの川上氏と言う人物への、深い信頼に近い心揺るがす感動でもあった・・。


「では、今度は種鳩鳩舎です」


 今度は3坪ほどのスペースが2つに仕切られた、内部と、2つの金網で囲まれた運動場のようなスペースがあった。一つ、一つの巣箱は作りも立派で、先ほどの選手鳩の止まり台のような狭いスペースとは違い、個々が約60センチ四方もある戸棚式であった。それは素人眼の香月にも理解出来た。


「2つに仕切ってあるのは、繁殖期以外には雄と雌を分離する為です。鳩は一緒にしておくと年に7~8回も仔を育ててしまいます。それでは年間に多くて、16羽から20羽もの子孫が増えてしまう訳ですが、その自然のままに繁殖させると、優秀な仔鳩の出現確率が下がってしまいます。そこで、優秀な仔鳩を得る為の人為的方法があります。優秀な親鳩から出きるだけ多くの子孫を残す為に、代理で仔鳩を育てる仮母と言うやり方もあります。優秀な親鳩からの卵と、仮母との卵を差し替える訳です。こうする事によって、優秀な仔鳩を自然産卵以上に得る事も可能です。鳩と言うのは雄・雌の仲は非常に良くて.生涯番になる事も多いですが、それも人為的に交配を変えるのです。これは、競翔鳩と言う特異な鳩飼育の一例ではありますが」


・・幾ら聞いても恐らく時間が足りない話になるであろう・・川上氏もそこで話は中断した。

 その鳩舎の中から川上氏は一羽の鳩を捕まえてきて、しばらく丹念にその鳩を触診していた。そしてその鳩を抱いたまま、戻りましょうと2人を先ほどの応接間に再び案内した。その前、香月は選手鳩鳩舎の中をじっと見つめていた。芳川が促すと、後から慌ててついてきた。

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