予知夢
第二話:予知夢
………。
どれくらい経っただろうか…。
3年分の涙は流した気がする。
瞼が痛い。
「よし。」
くよくよしてても始まらない。
弱冠17歳にしてそれを気付いた俺。
ざくっざくっ
庭に穴を掘る。
ざくっざくっ
大人一人が入る大きさになっただろうか。
「父さん…。」
最後に別れを告げて父の遺体を穴の中にそっと寝かせた。
暫くそのまま俺は突っ伏した。
そしてゆっくりと土をかけた。
…。
少しずつ埋まっていく父の身体を見ると再び涙が流れる。
「ちくしょ…」
父との思い出が蘇る。
ざくっざくっ
「仇はとる。」
そう言って銃を固く握り締める。
「今だけさよなら。父さん。かたが付いたら帰ってくるから。」
さっきまでこの厨二病くさいRPGをやる自分に疑問を感じていたが、もうそういう訳にもいかなくなった。
「やるしかない。」
と固く決心する。
「つくづく都合いいな。はは。」
そして母の元へ向かった。
……。
「あら、遅かったのね。」
母は玄関があったであろう場所に居た。
横には武装加工されたバン(中型トラック)が止まっていた。
相変わらずすげーもんつくるな…。
「お父さんは?」
母はそう言うが途中で悟るかのように後ろを向いて車に乗り込んだ。
「そう。でも仕方ない事よ。」
おいおい冷静すぎだろ。
だがもはや突っ込む気にはなれん。
「これからどうするの?」
「このまま、とある場所に行くわ。」
「とある場所?あの惑星には突っ込まないのか?」
自分の気持ちの中で父の「仇」が先行してしまう。
自覚はしているけれど抑制する事が出来なない。
何も言わずに俺は車に乗り込んだ。
「雨が降りそうだ。」
積乱雲が出てきて今すぐにでも雨が降りそうだ。
ぶろろろろ
車が発進する。
………………。
「こりゃあ、ひでぇ。」
家という家があのバルムートの乗っていた手の平サイズの宇宙船によって潰されていた。
そしてそこら中にはバルムート、そして少し先にはロクスが数匹いる。
肝心の住人はと言うと、どこにも居ない。
大方すでに拉致されたのであろう。
「少し捕まっていてね〜。」
そう呑気に言うと母はいきなりハンドルを回して車を左へ旋回させた。
え、ちょっ、ちょ待ち!
「うわー!!うわぁぁ!」
車体は大きく傾く。
そして住宅街の横にある雑木林の中へと突っ込んだ。
ガッシャン!ドタ!
大きな音が響いた。
当然ロクスは気づく。
どうすんだよ…全く。
母はなにを考えて……。
ピッ
赤いボタンを押す。
よく漫画とかで押してはいけなさそう…でも押したくなる、そんな色のボタン。
ビューーーーーン
まさかの車からミサイル発射。
ドドドドーン!
エゲツない音を立ててロクスが無残にもバラバラに消し飛ぶ。
その数なんと4匹。
「戦車4台が消し飛んだぞ。」
既に事ある事に驚かなくなった俺。
だってそうだろ?
さっきからセリフ以外のナレーションめっちゃ俺冷静じゃん。
というかいちいち驚いてたら身が持たないし、つーか慣れたし。
「淳平、少し寝ときなさい。」
母は気遣ってくれた。
普通の母らしいセリフだ。
そう言えば少し疲れたかもな。
少し眠気がする。
「そうさせてもらうわ。」
……ぐー…ぐー…。
………………………。
………………………………。
じ…ゅん………い。
夢か……?
「淳平!」
なんだ?
夢にしてはリアルだな。
しかも目の前に見た事ない可愛い女の子が。
「やっと起きた〜。淳平。」
「誰?てか夢…?見てんのか俺…?」
上手く呂律が回らない。
「よく自分で気づいたわね。そうよ。これは夢よ。そしてあたしは凛々子よ。凛でいいわ。」
「凛…。俺はお前を知ってるのか?」
「そうね。知ってるか知らないかと言ったら半々ね。あなた自身は認知出来ないけれど、あなたは私無しでは存在することは出来ないの。」
「どういうことだ?」
「私はあなたの奥深くに内在していて魂の一部となっているの。」
よくわからんな…。
「みんなにお前みたいな人が一人一人いて、夢で会えるのか?」
「あなたの場合は特殊よ。」
やっと俺はこのRPGの主人公っぽくなってきたぞ。
特殊。
主人公にはなくてはならない要素だ。
「あなたにしかもう地球は救えないわ。」
思わずにやけてしまう俺。
いや、だって可愛い女の子、特殊、そして俺にしか地球が救えない。
RPGの三大要素みたいなもんが俺にはある(らしい)んだもの。
いやー、テンションあがっちゃうね。( ´ ▽ ` )ノ
「今からあなたには私が予知した映像を見せるわ。」
なんじゃそりゃ…
びりり!
急に頭に電撃が走る。
何かが見えるぞ…。
………。
「母さん…?」
母が映る。
………。
「これ母さんだよな…。」
……………。
……。
…………。
「!」
「おいおい、うそだろ…。母さんもかよ…。」
衝撃的なものを見てしまった…。
………。、
思わず涙が流れる。
…………………。
びりり!
再び電撃が走って凛の前へ戻った。
「未来は変えられるわ。あなたの力で変えるの。」
頭が真っ白になった…。
「そろそろ起きる時間ね…。あなたと私は再び会うわ。それまでに絶対に死んではいけないわよ。」
…………。
……………。
……………。
「もうそろそろ着くわよ。」
…むく…
運転席から聞こえる母の言葉で俺はそっと起き上がった。
……絶対…
絶対母さんだけは…
母さんだけは死なせない。
そう胸に誓い車は大きなビルの前で止まった。




