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世界平和=人類滅亡

「世界が平和になるには、人類滅亡しかないと思う」


「極論ですね」


「だって、どんなに世界の平和を望んだって人間がいる限り、世界は平和にならないよ」


「分かりきったことじゃないですか。何を今更」


「だから考えたんだ。人類を効率的に滅亡させる方法」


「核でもぶち込んでやればいいんじゃないですか?」


「いいねそれ。やるなら派手な方が面白いし。ちょっと作ってくる」


「どうぞ頑張ってください」




という訳で、作ってきちゃいました。

僕天才なんで、材料さえ揃えば一から自分で作れちゃうんだよね。

まぁ、流石に核は材料が揃わないから、代わりに最高の威力を誇る爆弾と、ついでに致死率百パーセントのウイルスを作っちゃった。

どんな物かは秘密。

このふたつを掛け合わせて、爆弾が爆発した後にウイルスが広範囲に散布されて、爆発から生き延びたとしてもウイルスに感染して死亡。

僕頭いい!

で、早速使ってみました。

アメリカと中国とロシアに。

いやぁ、気持ちいいもんだね。

ウイルスに感染してあらゆるところから血を垂れ流しながら、皮膚が腐敗していく様は見物だね。



次にインドとフランスと、我が国日本。

いやぁ、面白いもんだね。あんな物作れるの僕くらいだと分かってるのに、あんなおっかないウイルスのワクチンを作れるのは僕しかいないから、誰も僕を言及してこない。

人にしか感染しないようなウイルス、他に誰が産み出せるのさ?

馬っ鹿だねぇ。僕を監禁するなり首を跳ね飛ばすなり、やればいいのに。

今まで非暴力で平和を説いてきたから、僕にこんなこと出来るはずないって?

馬鹿だなぁ。ただやらなかっただけで、簡単に傷つけられるんだよ。

言葉で訴え続けていれば、いつか伝わると本気で信じてたから。

でも、やっと分かった。どんなに訴えたって、伝わらない。

全ての人間がそうじゃないのは分かってる。

でも、世界を平和に導くには、地球に安息を齎すには、人類を滅亡に追いやるしかない。

言葉で伝わらないなら、行動を起こすしかない。

エゴでもなんでも構わない。

世界を平和に導くためなら、僕は人類史上最悪の殺戮者にだってなる。

欲に塗れた馬鹿な肥えた豚共は、自分だけが助かりたいがために、金を積むからワクチンをくれって言ってきた。

お前達みたいな愚か者が生き残ってなんになる?

世界平和のために、死んでしまえ。



金をふんだくって、ワクチンを打つ。

ホントは、ワクチンじゃなくてウイルスだけど。

ちょっと改悪して、すぐには症状が出ないようにしたんだ。

自覚症状がないだけで、ウイルスは身体を蝕む。

その間に接触感染や空気感染して、被害かくだーい。

感染した時点でもう終わり。

血を垂れ流して皮膚が腐敗していくのを味わいながら、死ぬだけ。

欲に塗れた豚共には、お似合いの死に方だよね。

世界中大パニック!

僕にももう、ウイルスは抑え込められない。

さぁどうする?人類諸君!

今更僕を指名手配したって無駄だよ。

なんでもっと早くに、僕を殺さなかったのかな?

もっともっと早くに、僕を殺してれば、どうにかなったのに。


「いいのですか?」


「何が?」


「人類滅亡ということは、最後に博士も死ぬということですが?」


「いいんだよ。世界平和のためになら、喜んでこの身を捧げよう」




「はい、終わり」


「終わり?その平和論者はどうなったの?」


「どうなったのかは、誰も知らないの」


「でも、どっちにしたって平和論者の夢は叶わなかったんだね。僕らがいるってことは」


「そういうことになるねぇ。さ、もう寝なさい。学校があるんだから」


「おやすみなさい」


少年は布団を被りながら考えます。

平和論者が叶えられなかった夢を、自分が叶えようと。






世界平和=人類滅亡 了

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