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とある誰かのヒトリゴト
私は恋をしたらしい。
いや、これが恋なのか分からないが多分、恋というものに一番近いだろう。
本当の意味で人を好きになったことがないから、恋というものが分からないが、これは恋だ。
決して実ることはない、随分と独りよがりな。
そして、歪だ。
相手はとうの昔に死んでしまっている。しかも犯罪者だ。殺人鬼。
殺した相手を食べるような人間に、私はどうしようもなく惹かれた。
やはり、私もどこかおかしいみたいだ。
出来ることなら会って話してみたかった。
何を思って殺して犯して食べるのか。
彼が何を考えているのか、知りたかった。
彼の言葉で、聴いてみたかった。
仕方ないから、今日も勝手に想像を膨らませる。
嗚呼、出来ることなら彼に食べられたい。
とある誰かのヒトリゴト 了