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GAME-疑心暗鬼殺人ゲーム-

初日、十三人


二日目、十二人


三日目、八人


四日目、六人


五日目、四人




今回も最終日を待たずして四人まで激減


今回も生き残りが二人になるまで、GAME続行せよ


了解。発砲の許可を


よろしい。許可する


了解。GAME続行します




息を押し殺して身を潜める。心臓の音と自分の息遣いがやけにうるさい。

ああ、本当心臓がうるさい。これ以上ばくばく言ったら、あいつらに聴こえるかもしれないじゃないか。

人殺し共め。

生き残りは俺と真由美と、人殺し二人。

なんでこんなことになったんだ。

普段通りに部屋で寝てただけなのに、気がついたら見知らぬ部屋の中。

同じ部屋の中に、男女十三人。訊いてみると、皆同じように連れ去られてきたらしい。

地獄を見るのはその翌日。女が一人、銃で撃たれて殺されてた。

確かにナルシストで自己中心的な嫌な奴だったけど、ここにいる奴らとは初対面。殺される理由はないはずだ。

それからだ。疑心暗鬼に陥って、皆が皆、殺し合いを始めた。

そして今日、四人になった。

朝流れたアナウンスが耳に残ってる。


《生き残り諸君に命ずる。殺し合え、二人になるまで。以上》


感情の込もららない、義務的な声。

真由美は守ってやらないと。十二人の中で、唯一信じれる人間だから。

あいつら、勝手に潰し合ってくれないかな。

二人は厳しいけど、一人ならなんとか出来る。

どっちにしろ、人殺しにならないと生き残れない。



ここに隠れてどれくらい経ったんだろう。三十分か一時間か。それ以上か?

扉の向こうから、発砲音が聴こえてくる。

あいつらが銃で殺し合いをしてるのか。

腕の中で真由美が震えてる。

そりゃそうか。扉一枚隔てた向こう側で、男が二人、銃で殺し合いをしてるんだもんな。

それでなくとも、こんな異常な空間に連れ去られてきて、まともな精神をここまで保ってる方が奇跡なんだ。

でも、それもいつ崩壊するか分からない。

いつ、真由美も人殺しになるか分からない。

そうなる前に、あいつらを始末しないと。


「大丈夫かな……?」


「分からない。もう少し様子を見よう」


いきなり銃声が止んで、気味が悪いほどの静寂が耳を貫く。

物音ひとつ聴こえない。俺と真由美の呼吸が聴こえるだけだ。

どうなってる……?二人共身を潜めてるのか?

それとも……相討ちか……?

どうする……動かないと外の様子は分からない。

けど、動けば危険が伴う。

もしかしたら、片方は負けて死んで、片方は俺達を殺すために待ち構えてるのか?

どうしたらいい?生き残れるのは二人だけ。

相討ちしてくれてたらいいのに……。

そしたら、楽に生き残りとしてここから出られる。


「もう嫌……出してよ!引っつかないでよ!あんたも身体目当てなんでしょ!?」


その時だった。真由美の声を聴きつけたのか、足音が近づいてくる。


「全く……おとなしくしてくれれば、助けてやったのに」


「何が助けてやるよ!どうせ男は皆そうなんでしょ!どうせ身体目当て!」


うるさく喚く女だ。遂に演技することさえやめたか。

狭い空間の中で俺の腕をはねのけて、扉を開けて外に出る。

あーあ、安易に出やがって。

ほら、案の定銃突きつけられたじゃないか。


「お前も出ろ。この女の代わりに死にたくないだろ?」


俺に銃を突きつけながら言ってくる。こいつ、名前なんていったっけな。


「そうだな。死ぬのはごめんだね」


「ちょっと!守ってくれるって言ったじゃない!」


「言ったけど、身代わりになるとは言ってない」


全く、女はすぐ勘違いするから嫌いだ。


「お前!服脱げよ!」


…………全く、そういうことか。犯してるとこを見られて興奮するのか?


「な、何言ってんの!」


「うるさい!お前知ってるか?こいつはな、俺の弟を誘って殺したんだ!」


弟……。ああ、あのハゲた眼鏡野郎か。

あんな挙動不審な気持ち悪い野郎を誘うなんて、趣味悪いな。


「好きなんだろ!?ヤるのが好きなんだろ!殺されたくなかったら脱げ!」


「分かったわよ、脱ぐから。脱ぐから銃を退けてよ」


はぁ……めんどくせ。他人の見る趣味ねぇし。

手を上げる。

その瞬間、パァンッ、と乾いた音が響く。


真由美の裸を夢中で見つめてた佐藤さとう さとしの頭が、爆ぜる。



佐藤 悟の頭が爆ぜて、飛び散った血と脳の破片が真由美の顔にかかる。


「…………」


人の頭が盛大に爆ぜるのを見るのは初めてなのか、呆然と下顎から上がなくなった死体を見つめる。

せっかく命だけは助けてやろうかと思ったけど、やめた。

所詮犯罪者ってことか。

隠し持ってた拳銃を、真由美に向ける。

当然だけど、青い顔をする。

俺がにっこり笑ってやると、助けてよって感じで笑った。


「助けてやんねーよ。所詮最初から、お前らは死ぬ運命だったんだ。俺は監視役。お前らが逃げ出さないようにな」


笑ったまま、引き金を引く。




「はぁ……疲れた。こちら処刑人。全員の死亡確認。GAME終了せよ」


《了解。処刑人は待機せよ》


しばらくして、処理係が来た。

ぼーっとしながら死体を片づける処理係を見つめる。


「よかったのか?」


「何が?」


「誰を処刑して処刑しないのか、お前には権利があるのに。あの女、気に入ってたんだろ?」


そりゃまあ、気に入ってたと言えば気に入ってたけどな。


「気に入ってたのは顔だけだ。あんなヒステリックな女はいらん。抱く気も起こらねぇよ」


「でももったいなくねぇか?お前なら処刑出来んだから、脅しちまえばヤり放題だろ?」


めんどくせー……。俺やっぱりこいつ嫌いだ。

犯罪者の中に女がいたら、なんで処刑したんだってそればかり。

あわよくば、自分がヤりてぇだけだろ。

全く、処刑人に選ばれたのは不運だ。俺の父親が快楽殺人者だからって。

処刑人には犯罪者を自由に扱う権利を与えられる。

刑務所がいっぱいになったから、服役中の犯罪者を減らすためにGAMEなんて馬鹿げたことをやり始めた。

言わば、死刑場だ。

犯罪者はゴミ。それが国の考え方。

犯罪者の中に混じって、俺は処刑という名の殺人を行う。

犯人なんて犯罪者の中には最初からいないのに、疑心暗鬼に陥って無様に殺し合う。

俺はそれを眺めるだけ。けど、一人だけなら気に入った犯罪者を連れ帰ることが出来る。

だから、真由美は気に入ったから連れ帰ろうかと思ったけど、気に入らない態度を取ったから処刑。


「なぁ、今度女いたら俺にくんね?」


「…………」


拳銃に弾を込める。安全装置を外して、向ける。


「それ以上喋ったら撃つぞ?」


上司だろうと関係ない。俺には権利があるからな。


「冗談じゃねぇか。全く、つまんねー奴だな」


「…………」


全く、疲れる奴ばかりだ。


「帰るわ」


欠伸が出てくる。帰って風呂入って寝よう。

起きたら、処刑部屋だったりして。






GAME-疑心暗鬼殺人ゲーム- 了

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