第零話
例えばの話
真っ黒な部屋
自分以外誰もいない
出口もない
手に握られているのは、拳銃
触ってみると、弾が一発
君なら、どうする?
自分で自らの頭を、撃ち抜くかい?
作者の遊び心やぁ、久しぶりだね。
おやおや、いつも以上に不機嫌そうな顔をしているな。
君は笑えないのかね?いつも怒ったような顔をして。眉間の皺が取れなくなるぞ?
笑わないのは私の前だけだ?いやはや、嫌われたものだな。
私は君が好きだがね?心配せずとも色恋沙汰の意味ではないぞ?
分かってる?それもそうか。
さて、本題に入ろうか。
うん?自分のために誰も犠牲にしたくないから死ぬ?
そうかそうか。君は潔く死を受け入れるのか。非常につまらんな。
私かい?まぁ……母が犠牲になる場合ならおとなしく死ぬが、友なら犠牲にするかもしれんな。
俗に言うマザコンというやつなのさ。
友なら犠牲にしてもなんとも思わないのかって?
罪悪感は残るだろうが、一番大切なのはやはり自分なのさ。無様だろうと生に縋りつくに決まってるだろう。
命あっての物種とはよく言ったものさ。死んだら元も子もない。
死などまっぴらごめんだよ。
さて、次の質問といこうか。
君の前にふたつの人生が転がっている。
ひとつ目は、金にはとことん恵まれているが寂しい人生。
ふたつ目は、金にはあまり恵まれていないが充実した人生。
君ならどちらの人生を送りたいかね?
深く考えずに答えてくれたまえ。
では、還るよ。
また会おう。