表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/23

DV-ドメスティックバイオレンス-

そう、もっと殴って


私を痛めつけて


怒りで醜く歪んだ顔を見せて


私は、その顔が好きなの


貴方の、私を殴る時のその顔が好きなの


唯一貴方の好きなところ


その顔が見たくて、貴方と結婚した


だから理不尽な理由を擦りつけて、私を殴って犯して


貴方に無理矢理犯されるの、興奮しちゃうの。知らないでしょう?


ああ、いい顔してる今日も怒鳴られて殴られる。口の中、切ったみたい。

理由は仕事でミスをしたのは私のせいだって。

変な人。私は家にいたのに、どうして私のせいになるんだか。

でもいいの。私を殴ってくれるから。

私の一番大好きな顔を見せてくれるから。

本当、醜くくて最高にいい顔。

結婚する前から暴力は受けてたけど、この顔が見たいから反対を押し切って結婚した。

私は幸せ者。大好きな顔を毎日見れるんだもの。

貴方だって幸せ者よ。私以外に付き合ってくれる人、他になかなかいないでしょ?



さぁもっと声を荒げて怒鳴って。

もっと醜く歪んだ顔で蔑んで。腫れた顔を見て、熱が冷めた彼が謝ってくる。

別に謝らなくていいのに。

悪いのは私。だって、わざと貴方が嫌いなことをして、怒らせたんだもの。

私、貴方の普段の軟弱な性格や顔が嫌いなの。

だから、わざと怒らせて暴力を振るうようにさせるの。

私は貴方より弱いから、見下して暴力を振るっても問題ない。そうでしょ?

私も貴方も、お互いを愛してなんかいない。

ただ、欲求を満たすためだけに一緒にいるだけ。

私は大好きな表情を見たいから。貴方は鬱憤晴らし。

まぁ貴方は、私が貴方にぞっこんで一緒にいるって勘違いしてるみたいだけど。

お馬鹿さんね。グツグツと煮えるビーフシチューを見つめる。

疲れて帰ってくる、あの人のために作ったビーフシチューを見つめる。

きっと不味いって、罵って殴ってくるんでしょうね。

私ね、もうひとつ見たい表情があるの。貴方に分かる?分からないでしょ。

可哀想だから今まで我慢してたけど、やっぱり見たい。

だから、可哀想だけどやる。

ごめんね?




玄関から扉を乱暴に開く音が響いた。帰ってきたのね。

わざと足音をさせて、不機嫌そう。


「お帰りなさい」


「うるさい!」


お帰りなさいって言っただけなのに、殴ってきた。

最近の貴方って、本当優しくなくなった。それが、ちょっぴり寂しいかな。

でもいいの。今から分からせてあげるから。

殴られる前に、思いっきり殴った。

強すぎたのか、あの人が尻餅をつく。

殴られた頬に手を当てながら、私を唖然と見上げてくる。

また殴る。あの人が悲鳴を上げた。

殴って蹴るを繰り返す。あの人が泣きながら謝ってくる。

ああ、その表情もいいわ。

私が見たい表情を見せてくれるまで、きっとそんなにかからない。

すぐ怒る貴方のことだもの。きっとすぐ何も考えないで、私のことを殺すに違いない。

それが楽しみ。きっと醜い顔をして殺してくれる。

それまで苛めて苛めて、苛め抜いてあげる。

楽しみね。





DV-ドメスティックバイオレンス- 了

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ