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読める鎮痛薬  作者: 九重有
子供たちへ

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五通目 正解より受け取ってほしい



今、子供の君たちへ。


君が「大丈夫」と言うとき

それは本当に大丈夫なときもあるし

大丈夫じゃないのに、そう言ってしまうときもある。

どっちでもいい。

ただ、君がその言葉を覚える速度だけは

少し、ゆっくりでいてほしい。


大人は「大丈夫」が上手です。

上手すぎる。

痛いのに笑う。

苦しいのに平気な顔をする。

悲しいのに予定を入れる。

限界なのに「まだいける」と言う。

そうやって、大丈夫の練習だけが増えていく。


最初は、周りのためです。

迷惑をかけないように。

空気を悪くしないように。

心配させないように。

ちゃんとした人でいるために。


でも、そのうち

周りのためじゃなくなる。

自分が自分を見ないためになる。

見てしまったら崩れる気がするから

崩れないように固めていく。

固めるほど

何がつらかったのか、分からなくなる。


そして、理由のない疲れが残る。

ただ眠いんじゃない。

ただ忙しいんじゃない。

誰にも殴られていないのに

ずっと殴られた後みたいな感じがする。

笑っているのに

胸の奥だけ置き去りのまま。


それはね

痛みが消えたんじゃなくて

痛みが場所を変えただけです。

言葉にならなかった分だけ

身体の方へ逃げてしまう。

息が浅くなるとか

胃が重いとか

何もしたくないとか

急に涙が出るとか

そういう形で。


子供の君たちへ。

もし「大丈夫」が口癖になりそうなときは

一回だけ、胸に聞いてみてください。

本当に大丈夫?

大丈夫じゃないなら

大丈夫じゃないって、思っていい。


大人になった君へ。

「大丈夫」と言うのが癖になった人は

たぶん、人に優しい人です。

だから自分にも

その優しさを少し回していい。

大丈夫じゃなかった時間を

なかったことにしなくていい。


今、子供の君たちへ。


大丈夫は、魔法じゃない。

でも、せめて

自分を黙らせる呪文にはしないでください。

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